2010.6.14 19:40
 【ロンドン=木村正人】英児童書のキャラクター、ピーターラビットの故郷として知られ、日本人観光客にも人気がある湖水地方で今月2日、12人が次々に射殺される事件があった。「穏やかな人」と近所でも評判の良かった犯人のタクシー運転手の“暴発”は英社会に大きな衝撃を与えたが、キャメロン首相は「わが国の銃規制は世界で最も厳しい」とさらなる規制には慎重な姿勢を見せている。

   ■惨劇

 イングランド北西部カンブリア州にある人口約2万5千のホワイトヘイブン。2日未明、デリック・バード容疑者(52)が散弾銃と照準付きのライフル銃を自宅から持ち出し、双子の兄を射殺した。

 兄の弁護士、続いて客待ちの順番で言い争ったことがある運転手仲間を撃ち殺した。このあと自分のタクシーを乗り回し、ライフル銃などで無差別にラグビーチームで活躍する男性らを次々と射殺した。

 警察の追跡を振り切って72キロ暴走した末、同日昼に自殺体で見つかった。
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/100614/erp1006141944006-n1.htm
   ■暴発

 9日に犠牲者の慰霊祭が行われ、14日には双子の兄の葬式が営まれた。

 バード容疑者は離婚しているが、2人の息子がおり最近、孫ができたばかり。知人は「物静かで陽気な性格。人気者だった」と口をそろえ、家族も「信じられない」と首をかしげた。

 動機として「容疑者の亡父が双子の兄に2万5千ポンド(約330万円)を生前贈与していたことが分かり、容疑者は兄と弁護士を憎悪していた」「容疑者の銀行口座に6万ポンド(約780万円)が隠されており、税務当局が査察中だった」との報道が相次いだが、真相は闇の中だ。

 犯罪心理に詳しい英バーミンガム大のデービッド・ウィルソン教授は「誰もが顔見知りという地域社会で人間関係に行き詰まると、閉塞(へいそく)感に取りつかれる。個人的な人間関係の破(は)綻(たん)から感情がコントロールできなくなり、社会に向けて暴発した」とみる。
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/100614/erp1006141944006-n2.htm

  ■銃規制

 憲法に「武器を所持する権利」をうたう米国と異なり、英国では第一次大戦以降、段階的に銃規制が強化されてきた。

 1987年にイングランド南部で起きた16人射殺事件で半自動式ライフル銃の使用が禁止された。96年にはスコットランド中心部の小学校で児童16人と教師が射殺される悲劇が起き、同地方に咲く「マツユキソウ」と名付けられた署名運動に70万人が賛同、短銃の所持が禁止された。

 現在、英国で狩猟やスポーツ射撃のため散弾銃やライフル銃を保有するには、筆記試験を通過することのほかに、テロ組織とのつながり、アルコール中毒や薬物中毒、精神障害の有無、保管場所の安全性などが警察によって徹底的に調べられる。日本と同レベルの厳しさだ。

 このため、先の総選挙でも銃規制は争点にならなかった。事件の2日後、現場を訪れたキャメロン首相は「ある日誰かが暴発するのを法律で規制することはできない。何を取り締まるべきかという結論を反射的に出すのは慎むべきだ」と新たな規制強化は必要ないとの考えを示した。
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/100614/erp1006141944006-n3.htm

我が國の腐敗政府/警察権力、劣悪政治家どもと比べたらましな対応だが、ドイツも英国も自衛銃所持のための規制緩和議論は殆どなされないのは問題だな…。